子どものころから空手に取り組み、大学時代まで打ち込んでいたという空手名門校出身の岡本健伸さん。高校時代には団体戦の「全国高等学校空手道選抜大会」の2連覇を達成。組み手で活躍し、チームの勝利に大きく寄与した経験をお持ちです。選抜メンバーは60名中5名という、狭き門でした。今回は空手での経験や、そこでの修練がビジネスにどのように活かされているかなどを語ってもらいました。
空手から学んだ、相手に敬意を持つことと諦めないこと。
──空手の魅力を教えてください。
母が空手を、父がボクシングをしていた家庭で育ったこともあり、3歳ころから始めたと親から聞いています。小学校4年生までは、空手以外に野球やサッカー、ピアノなど色々なことに興味があったので、さまざまな習い事をさせてもらいましたが、それ以降は、空手一筋です。空手の魅力はシンプルに自分がやっていて「好き」ということと、観ていてもわかりやすくて興味深い競技だというところです。ボクシングのKOのような、他の格闘技にみられる派手な場面は少ないのですが、点数競技なのでサッカーのように点数が可視化されるところに面白さを感じます。
──空手を通じて、一番学びになったことは何でしょうか?
礼節や相手のことを敬う心、そして諦めないことなどを学びました。試合中は必死で勝負に挑みますが、つねに相手に敬意を持って接するところが武道の良さだと思います。あとは、諦めない心を養うことができました。私は中高一貫校に通っていたので6年間同じ部活だったのですが、実は入学当時は同期の中で一番弱かったくらいの実力差がありました。だから、コツコツとひたすら練習を積み重ねていました。すると、たまたま練習試合で監督の目に留まって、レギュラー入りすることができたのです。それがなければ、大学進学後も空手をすることにはつながっていなかったと思います。タイプ的に「試合に出たらなんとかなる」といった楽観主義者ではなく、さまざまな要因を想定した上で、計画を立ててから行動するリアリスト型なので、「勝つために必要な練習量」をはじき出し、諦めずに努力した結果が実りました。
──武道のみならず、TOEIC750点と「文武両道」を実現しています。
高校時代は、朝の5時に起床し、練習に明け暮れて、帰宅は夜の11時という、ほぼ空手一色の生活でした。勉強の方は就職活動を意識し始めたことがきっかけで、空手以外の経歴も必要と考え、TOEICにも挑戦しました。
輝いてる大人に憧れ、ビジネスの世界に転身へ。
──ビジネスの道に進まれた理由を教えてください。
大きな理由は、「仕事は楽しい」とまっすぐな目で言ってくれた、輝いている先輩に出会って「カッコイイ」と感じたことです。ほかの先輩たちからは「働くのは大変。大学時代が一番楽しかった」という意見が多かったので、新鮮でした。そこで、自分も「仕事を楽しい」と言える、憧れの先輩のようになりたいと考え、就職活動をスタートさせたのです。就活の軸にしていたのは「成果主義」と「チームで高い目標を達成する会社」でした。自分が熱中できた部活動と同じように仕事に熱中したいと考えていたので、似たような環境を選びました。当社は、岩田社長が「日本一の会社になる」と公言してる会社で、社風も自分の軸とピタリと当てはまりました。
──空手で学んだことは、ビジネスに活かされているでしょうか?
継続する力が「勝ち」につながるという点は、空手もビジネスも根本的に同じだと感じます。「営業成績トップ」という華やかな成績の陰には、地道な努力が存在します。特に私は、試合に勝つために必要な練習を積み重ねるタイプだったので、“当たり前のことを、徹底的にやる”ことを空手から学ぶことができました。その上で、ビジネスも武道も「結果がすべて」であり、勝利をした人が称賛されるという「成果主義」が貫かれているという点も、共通項だと思います。
──現在のお仕事内容とやりがいに感じていることを教えてください。
今、新卒の採用業務にたずさわり、合同説明会でプレゼンをしたりしています。私自身、就職活動で苦労したことと、入社1年目ということもあり「学生の気持ちに寄り添いやすい」ところが強みかなと感じています。仕事のやりがいとしては、学生から回収したアンケートに「岡本さんの話が良かった」と書かれているのを見つけたとき、うれしい気持ちになります。逆にくやしいと感じるのは、自分のスキル不足で会社の魅力を100%伝えきれなかったときです。このあたりは、上司から学んでいる最中です。
ゴールを決めてから「現在すべきこと」を学んだ、就職活動。
──岡本さんが、就職活動で学んだことは何でしょうか?
新卒採用にたずさわる中で、みなさん本当に優秀だと感じます。そのためアドバイスというよりかはイチ意見として、私自身が悩みながら導いたひとつの結論をお伝えすると、「自分はこうなりたい」という将来像を設定し、その将来像が叶えられる会社選びをすることが大切だということです。ゴールは人それぞれなので、何でも良いと思います。たとえば「年収1000万円を稼ぐ」を目標にする場合、それをいつ達成するのかを考えます。「20代で」という答えであれば、確率でいうと0.1%未満という超難関になるので、それにふさわしい努力が必要になるイメージです。お金がすべてではありませんが、憧れの先輩が「稼いでいる人」でもあったので、高収入は私も目指しているところです。私の場合は、ゴールを決めてから逆算することで、就職活動は非常に楽になりました。
──就活のとき、意識していたことを教えてください。
自分の目標を定めて動いたほうが、入社後のギャップは少なくなると思います。逆に、興味や関心で会社選びをすると、違いがあったときに辛くなるかも知れません。それよりは、自分が叶えたい夢など「普遍的な将来像」を設定し、それにつながる会社や組織で働く方が、幸せに近づくのではないでしょうか。私も新卒の採用担当として、ギャップが生じないように、しっかりとお伝えするようにしています。
──将来の目標を教えてください。
お世話になった空手への恩返しです。特に、空手に打ち込んだ後輩たちに「空手で学んだことをビジネスに活かせば、仕事は面白い」ということを私自身が憧れの先輩から学んだように伝えていければと思います。そのためには、まず自分が思いっきり楽しまなければなりませんし、それを伝播させるだけの影響力を持つことが必要なので、日々精進していきます!