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プロボクサーを経て、同志社大学に進学し、学部約250名中トップ10に入るGPA成績を残した後、リクルートに入社。同社で営業成績のMVPを獲得後は、採用コンサルタントとして独立。異色のキャリアをもつ丸岡裕太さんが選んだのが、ネクサスエージェントでの戦略人事部部長の役回りでした。輝かしい経歴ですが、「実は劣等感が原動力です」と話す丸岡さんの本音と戦略人事部部長としての役割の意気込みを伺いました。
一国一城の主から、部長へ。「葛藤はなく、むしろ幸せだった」。
──入社前の経歴を教えてください。
建設現場の作業員として生計を立てながらプロボクサーをしていました。西日本新人王を獲得し、ケガをしたことで自分の今後のキャリアについて考えました。そのときの人材紹介会社の担当者から「大学を出た方が就職がしやすい」とアドバイスをもらい、もともと興味があったアスリートのセカンドキャリア支援について学べる同志社大学へ。選んだ理由は、スポーツ健康科学部の横山勝彦教授の論文に触発されたからです。受験も、横山教授のゼミに入るのも狭き門でしたが、コツコツと努力した結果が報われました。またボクシングでも在学中に日本5位になることができ、IBFアジアタイトルにも挑戦しました。その後、リクルートに入社してMVPを取った後、採用コンサルタントとして独立…という経歴です。
──ネクサスエージェントで働き始めたきっかけは?
独立後、大手メーカーの採用サポートや、大学のキャリア講師などをしていました。当時は、大手企業の1年間の採用目標を1か月で達成し、事業の滑り出しがスムーズだったので、経営者の仲間たちと遊び回っていた記憶があります(笑)。一方で、人材業界でのキャリアが3年しかない自分の仕事は「ほかの人でもできるのでは?取って代わられたとき、自分はどうしたら良いのだろう」と悶々と悩んでもいました。そんな危機感と不安を覚えていたときに、以前から交流があった岩田社長に「うちの人事部長にならないか?」と声をかけてもらったのです。
──社長を辞め、部長として働こうと思った決め手は?
起業したとき、「世の中の社長は遊んでいる」というイメージがあり、自分の会社が儲かっているなら、あとはどうでも良いなと考える社長がほとんどだと考えていました。でも、岩田社長は全然違ったのです。「世の中に何を残せるか?何を与えることができるのか?」という社会性を追求する姿勢に心を打たれました。それ以外にも、今の自分の結果に満足せず、「まだまだ怖い。もっと上を目指さなければ」が口癖で、常に全力投球。崇高な理念を掲げ、行動に移している岩田社長に魅了されました。今思えば、起業後10年以内に90%以上の会社が潰れるというデータがある中、僕の会社は「倒産していた方だろうな」と感じます(笑)。
学生の人数より、面接官の方が多かった時代。今は、エントリー数9500名超えの人気企業に。
──社員になり、意識の変化などはありましたか?
採用だけを請け負っているときと比べると、部署全体を成長させることがミッションになるので、責任の重さがまったく違います。完全にマインドが切り替わりましたね。また、これまでは自分の感覚だけで進めていた業務をメンバーたちに伝えるため、言語化して仕組み化するとともに、PDCAを回して再現性を高めることも重要でした。今は全員の目標を達成させることが、僕のモチベーションです。
──長年関わる中で、やりがいや手応えは?
年々、新卒エントリーの母集団が増えていることに、手ごたえを感じています。3年前は、1次面接で学生4名、人事5名と、人事の方が多かったときがありました(笑)。今では、9500名の学生がエントリーしてくださいますし、複数の企業を束ねる大手グループから、“採用競合”としてベンチマークされるまでに至りました。母集団を増やすためにやったことは、全国を飛びまわり、ひとつでも多くの採用イベントに参加することです。その際、「合同説明会でどのように、魅せるか?」といったところで、リクルートや採用コンサルタント時代の経験が役立っています。
──会社の魅力と、若手社員たちに伝えていることをぜひ!
平均年齢が若く、みんながやる気に満ち溢れているというところです。当社を選んでくれるのは、大手で安定志向ではなく、勢いに溢れた上昇志向タイプばかりなのが魅力的です。
若手社員たちに伝えていることは「最新の勝負で結果を出せれば、どんなマイナスもひっくり返せる」ということ。私自身、順風満帆なキャリアを歩んできたと思われがちですが、大学入学も中途入社も5年遅れだったこともあり、実は「劣等感の塊」だったんです。でも、中学生で習うレベルから必死に受験勉強して合格し、リクルートでMVPを取ったりと結果を残したことで、少しずつ周りの見る目も変わりました。だから、成果を出せば「全部ひっくり返せる」と断言できます。
最短で成果を残せるノウハウを樹立。成功への近道は、真面目にコツコツ。
──活躍している社員の特徴は?
真面目にコツコツと仕事に取り組める人です。「全国レベルのアスリートでした」といった派手な経歴を持っている人もいますが、会社はそこを評価しているわけではなくて、“地道な努力ができるか?”を重視しています。たとえば、「偏差値35を55まで上げて受験に成功」というタイプです。すでにキャリアアップのノウハウが社内に溜まっており「こうしたら、成果につながる」という手法は確立しています。だから、決めたことを着実にやり抜ける力のある社員が実績を上げていますね。
──どんな方と一緒に働きたいですか?
活躍している社員の特徴と同じく、継続力のあるタイプですね。プロボクサーのとき、周りからは「凄い努力ですね」と言われたのですが、自身は“好き”でやっていることなので、全然努力とは思っていませんでした。「頑張ったな」と言えるのは、好きなこと以外で力を尽くしたこと。受験勉強もそうですし、アスリートのセカンドキャリアを専門に学べる横山ゼミは人気が高く、GPA(成績数値)の上位者でなければ受講できないので、高評価で単位を取り、250人中トップ10に入る成績を残すことができました。これは頑張ったと思いますし、「劣等感」がポジティブ思考になる一助にもなりました。
──将来、思い描いている目標は?
入社したい会社のランキング上位になり、学生から選ばれる企業になることです。また、うれしいことに、「丸岡さんだから当社を選んだ」と言ってくれる社員がいるので、彼ら、彼女らに「入社して幸福だ」と思ってもらえるように、力を尽くしたいです。全員がプロとして活躍できる実力を身に付けられるように育成する義務がありますので。そうした義務や責任を果たし続けることが目標です。